All posts by 今井 一

2112月/14
イタリアでの「原発」国民投票の際のポスター

「国民拒否」「国民発議」制度の導入を!

総選挙から一週間が経ちました。選挙前の大方の読み通り、自民党・安倍政権は、究極の解釈改憲である集団的自衛権の行使容認に基づく法整備や原発の再稼働を「国民の承認を得た」ものとして進めようとしています。こうした動きに対して、立憲主義や国民主権を擁護する立場から、私たちは主権者として全力で立ち向かわなければなりませんが、このような目前に迫った課題とは別に、国民主権をより豊かなものにするために、取り組まなければならないことがあると考えます。それは、「国民拒否」「国民発議」という制度の導入です。

自民党のみならず、民主党であれ共産党であれどこが政権を握ろうが、政治権力は時として主権者の多数意思に反するような政治・行政を行うものです。それは、日本に限らずどこの国でもそうで、そういうことが一切ない政府・政権などあり得ません。そこで、スイスやイタリアなどでは「国民拒否」「国民発議」という制度を設けて、政府と主権者・国民の意思のねじれを解消しています。

具体的に紹介しましょう。イタリアでは2009年にベルルスコーニ政権が、長らく続いていた「脱原発」政策を転換。2013年までに原発建設に着手し2020年までに最初の原発を稼働させる計画を立てました。そして、それを遂行するために必要な複数の法律(ここでは「原発再開法」と呼ぶ)も整えました。しかしながら、この「原発推進」計画に反対する国民が、野党の呼びかけに応える形で署名を行い、主として原発再開を望まない人々が、憲法の規定に基づく50万筆以上の連署を添え、憲法裁判所に国民投票の実施を求めて提訴しました(2010年)。そして、2011年6月に「原発再開法」を廃止するか否かの国民投票が実施され、投票者の95%が廃止に賛成。ベルルスコーニ首相は、主権者・国民の意思に従い、「原発再開」の断念を宣言しました。 Continue reading

1912月/14

学校でのエアコン設置の是非を問う住民投票、実施へ(所沢市)

所沢市内の小中学校では入間基地の騒音を防ぐためのエアコン設置を進めていましたが、市長が節電を理由に工事を止めました。それで市民が、設置の是非を問う住民投票の実施(住民投票条例の制定)を求める直接請求を行なっていたのですが、昨日(12月18日)、所沢市議会は全会一致で、住民投票条例を制定し、来年2月に実施されることになりました。

全体的には、「間接民主制の破壊」だとか「衆愚に陥る」、「カネの無駄」と言って、直接請求による住民投票の実施を拒む東京都や大阪市など、馬鹿な議会がまだ蔓延っている状況ですが、所々でこういった所沢市のような賢明な判断を下す議会が出てきました。

欧米ではこうした案件・テーマでの住民投票も実施されていますが、日本では初めて。これまで日本で実施された410件余の住民投票(条例制定に基づく)の中にはありません。日本の住民投票は、「原発」(96年巻町)「基地」(96年沖縄県、97年名護市)「産廃」(97年御嵩町)で歩み出しました。最初は、いわゆる迷惑施設に対する反対運動のツールとして活用されたわけですが、今回はそういったものではなく、学校でのエアコン設置」という、どこの街にもある普通の課題について住民投票で決めようという動きが起こり、それを議会が承諾したということです。

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209月/14
海山町での住民投票(原発誘致の是非)

運営委員会のお知らせ

◆前代表の福嶋浩彦さんから「運営委員会をちゃんと開きましょう」という提案をいただきました。その提案に応えてのご案内です。

[1]ホームページをリニューアルし、好評を得ています。ただし、重大な問題が一つ。これまで十数年にわたって蓄積してきた「住民投票の動き」などをチェックし資料庫に加え反映させる作業が資金難による担当者不在で8月以降停止しています。これを誰が担うのか、外部に委託するとしたら、その費用はどうするのか?

[2]「スコットランドの住民投票」について、私たちの会の仲間、大芝健太郎さんが、現地に1ヶ月ほど滞在し、会のホームページに掲載する詳細なリポートを送ってくれます。彼の帰国報告会を催すのか?

そういった事柄をはじめ、幾つかの案件について意見交換したいと考えています。

運営委員ではない一般会員の方で参加したい人がおられれば、ぜひどうぞ。入会する可能性がある…という方もどうぞ。ただし、お越しになる方は、前日までに必ずメールで御連絡下さい。※大阪は当日の16時までならOK Continue reading

189月/14
スコットランドの国旗

スコットランドの住民投票から学ぶべきこと

今、スコットランドは9月18日の午前9時。イギリスから離脱・独立するか否かを決める投票が2時間前から始まっています。賛否どちらが多数になっても、私の考えは変わりませんが、そう受け止めない人もいるので、結果が出る前に掲載しておきます。

今回、「住民投票」と呼ばれていますが、実際にはイギリスを構成する4つの「国」のうちの一つが独立するか否かですから、これは「国民投票」と呼んでもおかしくない案件です。私は91年2月3月にバルト3国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)が個々に実施した「ソ連邦から離脱・独立するか否か」を問う国民投票およびその直後に実施された「ソ連邦を存続させるか否か」を問う国民投票の現場にいました。

ラトヴィア、リトアニアでは、国民投票をやると宣言した途端にソ連の武装グループから襲撃を受け犠牲者が出ましたが、若者たちは怯むことなく、猟銃を手に市役所などに立てこもりました。まさに命懸けの国民投票でした。あのとき示した圧倒的多数の「独立」の意思が黙殺されることなく尊重され、独立国としての今に至っています。

今回のスコットランドの投票はバルトでの国民投票に比べたら実に平和的であり、かつ賛否両派が拮抗する中で、主権者が議論を重ねて選択・決定するという点において、住民投票、国民投票の理想的な形を整えています。普段は18歳以上に認める投票権を16歳まで引き下げ、多くの若者に決定参加の機会を与たうえでスコットランドの未来を決めるというルールもすばらしい。より感動的なのは、若者たちがその意図に応え、賛否両派の訴えに関心を寄せ、学び、話し合っていることです。その事実は、本会メンバーのジャーナリスト・大芝健太郎さんら世界中のジャーナリストが現地から報じるリポートで明らかです。 Continue reading

298月/14
スコットランドの国旗

[英国からの独立]の是非を問うスコットランドの住民投票(実施前の解説)

英国から独立するか?留まるか? それを決めるスコットランドの住民投票は、9月18日(木)に実施される。

当初、反対派が[7:3]あるいは[6:4]で優勢と伝えられていたが、ここにきて独立賛成派が支持を急増させ、今ではほぼ互角の争いとなっている。

なぜ、スコットランド国内で「独立すべし」という声が大きくなったのかについては、すでにさまざまなメディアで報じられているので、ここでは触れません。むしろ私は、メディアがあまり伝えていない事柄について[自治体国際化協会ロンドン事務所]のリポートを基に、紹介し解説したいと考えています。

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