All posts by 今井 一

165月/15
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5.17大阪住民投票で得たこと

大阪市を5つの特別区に変えるかどうか──その是非を大阪市民に問う住民投票はいよいよ明日投開票となります。
結果が出てから書くと、素直に読み込もうとせず、「賛成多数だったから」、「反対多数だったから」こんなことを書いているという人が必ず出てくるので、前日(5.16)の午前11時にアップしておきます。

「原発」にせよ「市町村合併」にせよ、一般的に国民投票・住民投票での決着を否定する人は、昔は、「議員に比べて一般の市民は理解、判断能力が劣っている」と言って憚りませんでした。
今は、こんなふうに言う「自称リベラル」が多いです。
「国民投票・住民投票は、投票する人が十分な情報を得た上で勉強することが不可欠。そうでなければ愚かな投票になってしまう。今の日本人(〇〇市民)は、この案件(原発とか合併とかいった投票対象)について勉強どころか関心がない。ちゃんと勉強してから、国民投票・住民投票をやると決めるべきです」

尤もらしいことを言ってますが、したり顔でこんなことを言う人は、国民投票・住民投票の現場、実態を何も知らない人です。例えば、88.29%という高い投票率と豊かな議論、冷静な考慮を実現した巻町の「原発」住民投票にせよ、上尾市や米原町の「合併」の選択を問うた住民投票にせよ、辺野古の新たな米軍基地建設を問うた名護市民投票にせよ、スウェーデンの「原発」国民投票にせよ、どこでもそうですが、多数の住民が強い関心を持ち、既に案件に対する理解が進んでいたから住民投票・国民投票で決めようとなったのではなく、住民投票・国民投票で決着を付けると決まってから、人々は関心を強め勉強も議論もしたのです。最初から、多数の人が強い関心を持ち案件について理解をしていたというところなどありません。

今回の大阪での住民投票もそれは同じ。もし「最終的に議員が決める」ということだったら、大半の市民は自身で勉強せず、議員任せにしていました。一人ひとりの市民が最終決定権を行使することになったからこそ、関心をもち勉強もしたのです。39回に及ぶ市主催の「説明会」がほぼすべて満席となったのはその証で、おそらく、この説明会の準備をした市職員は、普段はいいかげんに見える大阪市民の「勤勉さ」に驚き感激したことでしょう。私も意外でしたが、これは大阪市民だからではなく、他の自治体住民でも同じ反応をしたに違いありません。 Continue reading

125月/15
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5.17大阪住民投票と改憲の是非を問う国民投票

中日新聞のA記者から、大阪の5.17住民投票について取材を受けた。
記者は、憲法9条改正の是非を問う国民投票に強い関心を持っていて、今回の大阪での住民投票から学び、生かせることはないかという質問をしてきた。
一昨日の東成区民センターでの、賛否両派の「勉強会」と称する公開討論会を傍聴し、改めて確信したことがある。それは、論敵は(住民サービス、二重行政etc.)どんな事柄にせよ相手に具体的な説明を求め、抽象論に終始したり曖昧な説明であった場合、徹底的にそこを突いてくるということだ。
護憲派は、日常的に自民党の改憲案を批判しているが、もし2016年に、自民党案がベースになった「9条改正案」の是非を問う国会発議が実現し、日本初の国民投票が実施されることになれば、改憲派は護憲派に対して、討論会などでこう追及してくるのは間違いない。
「9条は改正せず、このままの条文でいいとあなた方は言うが、このままだと、憲法上、自衛戦争は認められるのか?自衛のためでも戦争はしないということになるのか? 戦争をしないのなら、〈いつ、どのような条件で降伏するのか? その帰結として日本国は、自分たち日本人はどうなるのか?〉このことについて、明確に答えてほしい」 Continue reading

284月/15
9条の会

九条の会、「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会への質問状

本年3月19日、私は、九条の会、「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会の両会に対して、下記の質問状を送付しました。
その質問に対する回答を、ひと月以内に頂戴したい旨、質問状に付記しお願いしましたが、すでに40日が経過した現時点で、回答も、連絡も一切ありません。
両会は、少数の人々の限られた「サークル活動」といったものではなく、日本はもとより世界中の人々に対して「憲法9条」の意義を説いたり語ったりしているのに、このような本質的な問いに答えず、曖昧な姿勢をとることは無責任です。
そう考え、この際、こうした質問状を出していること、そして回答がないことを明らかにすることにしました。 Continue reading

224月/15
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大阪市の[5.17住民投票]について(連載全3回の3)

連載第2回の続き

裁判においては、原告・被告双方が、裁判所において、自分たちの主張をしたり相手方の主張に異議を唱えたりします。裁判官や陪審員は、そのやりとりを直接見聞きすることにより、理性的な判断を下すことができるのです。
住民投票における投票権者の判断についてもそれは同じで、住民の深い理解を促すためには、賛成派・反対派それぞれが別々の場所で一方的に自陣の主張を繰り返すだけではなく、一堂に会して公開討論会を開催することが大切です。
これまで、条例制定に基づく住民投票を実施した自治体の中には、公平かつ水準の高い公開討論会を開催したところが多数あります。その事例を幾つか紹介します。 Continue reading

184月/15
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大阪市の[5.17住民投票]について(連載全3回の2)

【連載1の続き】

▼条例制定に基づく住民投票を実施した自治体の中には、成立要件として「最低投票率」や「絶対得票率」を設けたところがいくつもありますが、今回の5.17住民投票のルールの基となっている大都市法8条には、(関係市町村及び関係道府県は、住民投票において)「有効投票の総数の過半数の賛成があったときは、共同して、総務大臣に対し、特別区の設置を申請することができる」と記してあるだけで、成立要件については全く触れていません。したがって、投票率がどんなに低くとも、賛否どちらか一票でも多い方が、主権者である大阪市民の「特別区設置」に関する意思とされ、前回(連載1)記した通り、法的な拘束力をもって、行政や議会を縛ることになります。 Continue reading