米原住民投票

号泣議員と住民投票


今年は、地方議員が随分と注目されています。
号泣議員。セクハラ野次議員。LINE議員。。。
事の顛末を観ていると、まるでコメディー映画のようです。
号泣議員は、今年、どんなお笑い芸人よりも笑いをとった爆笑王になることでしょう。
でもね。やっぱり笑っててはいけません。
地方議員の中には、1000万円以上の高額報酬をもらっている人が大勢います。
3年前。6万人を超す原発大阪市民投票条例の制定を求める署名が集まり、大阪市議会で審議されました。
審議期間中に、僕は『あなたの区の市議さんに条例案の賛成をお願いしましょう!』というチラシを作ってスーパーなどで配りました。
チラシを受け取った方の反応はとてもよく、
「あ~。あの署名な。私もやったわ。どうなったんかな~と思っててん。私も電話してお願いしとくわ」と言われる方もおられました。
しかし、そのチラシに書かれた一文に、ある区の市議から抗議の電話がありました。
チラシに書かれた「月給78万円の市会議員さんに、本当の民意を大切にしてもらうようみんなでお願いしましょう!」という文章に、
「給料を書いたチラシをばら撒くとは、卑怯やないか!」と相当ご立腹のようでした。
ちょっと待ってください!
議員報酬は、公表されているもので、別に給料を暴露したわけではありません。
ということは、その議員さんの中に“もらいすぎてる”という後ろめたさがあったから「卑怯やないか!」と言ったと思いたくなります。
あの時、いろんな議員さんのHPを観ましたが、『活動報告』のページには、敬老会に参加とか、夏祭りであいさつとか、子供たちと笑顔でピースの写真とか。
「それで78万円はもらいすぎやろ!」と思わずツッコミたくなる議員もいました。
結局、条例案は否決。否決した議員からは、納得のいく否決理由など全く聞くことはできませんでした。
あくまでも大事なのは、報酬金額そのものよりも、金額に見合った仕事をしたかどうかです。78万円なら78万円の仕事をしたかが大切なんです。
住民投票に否定的な議員はよく「住民投票なんかで決めたら、私たちの仕事がなくなる」といいます。
はたしてそうでしょうか。
2002年。滋賀県の米原町で、合併の住民投票が実施されました。
・彦根市との合併
・長浜市との合併
・(米原町のある)坂田郡での合併
この三択での住民投票。
米原町議会では、彦根市との合併を考える議員の数が多かったのですが、「大事なことはみんなで決めよう」と住民投票が行なわれたのです。
米原の住民投票では、実に丁寧でしっかりとした説明会が、行われていました。
それぞれのPR合戦は、とてもユニークでわかりやすく、活気があり、大変盛り上がりました。
そこで目立ったのは、議員の活躍でした。
自分の支持する合併パターンのメリットなどを熱く語る議員の姿がとても印象的でした。
そして、投票の結果は、議会では最も少数派だった坂田郡での合併が多数という結果になりました。
結果がでた瞬間、開票会場では、坂田郡の合併を支持する市民グループの方々と議員さんが、「やったー」と叫び、抱き合っていました。
しっかりとした説明会、公開討論会を行ない、そこで議員が先頭にたって市民に訴えていく。
十分な情報公開と議論の末に、市民が考え、1票を投じる。それが本当の民意です。
米原町議の方々は、住民投票の中での議員の仕事とは何かを僕に見せてくれました。
だから「住民投票なんかで決めたら、私たちの仕事がなくなる」などという意見は、ナンセンスとしか思えないのです。
来春には、統一地方選挙が行われます。
いたいところを突かれて泣く議員ではなく。市民と喜びの涙を流す議員を選ぶために、関心を高めていきたいものです。