憲法審査会が、テレビやネットでの国民投票運動CMを規制するか否かについての議論を再開しました。なので、改めてそのことについて少しだけ解説します。
『国民投票の総て』(今井一編著)より
EUに残留するか離脱するかを問うたイギリスの国民投票では、特殊なルールを設け、残留・離脱各派の包括団体が、同じ時間帯に同じ分量のCMを放送局に金を支払うことなく流せる仕組みになっていました。
ここに添付したのは、何本か流れていたもののうちの1本。CMといってもやや長めで、放送を活用するキャンペーンというのが正確です。
イギリスでは、こうした放送を活用したキャンペーンの他に、投票日の2日前に6人の論客政治家によるテレビ「公開討論会」がありました(主催はBBC)。
登壇者は残留・離脱各派3人ずつ(女2人・男1人)で、席に着くのではなく立ったまま2時間近くガチでやりあいました。サディク・カーンとボリス・ジョンソンの新旧ロンドン市長の対決が面白かったのですが、ボリスはEU離脱を訴え(彼と同じ保守党所属の)キャメロン首相(当時)はEU残留を訴えていました。
ロンドン市内で行われたこの討論会には、残留・離脱各派の支持者3,000人ずつを会場に招き、BBCが討論の模様を生中継。私もホテルの自室で視聴しました。
日本においても国民投票の際、こうした討論会をテレビやネットでいっぱいやって理性的認識を促すべしというのが私たち「国民投票のルール改善を考え求める会」の考えです。
主権者・国民の感性に訴えたり刷り込みを狙うものでしかないテレビやネットの国民投票運動CMは全面禁止し、国がスポンサーとなり口は出さないテレビ(ネット)公開討論会を。
放送局はCMを禁止されたら莫大な広告収入を取り損ねるから「言論・表現の自由」を理由にして禁止反対と言いますが、そんな彼らのために、賛否各派が論じ合う公開討論会を流せば国がスポンサーになってカネを出すということにすればいい。
NHKや各民間放送局には、BBCが主催してライブ中継したような上記の「公開討論会」を連日、局替わりで流してほしい。
公開討論会は、フェイクも混じった言いっ放しのCMとは異なり、互いが相手の嘘や曖昧な話に突っ込みを入れて投票権者に正確な情報を提供することができます。それによって、投票権者は感性やイメージに左右されることなく理性的な判断を下す可能性を得ることができます。
近々、私たちはこうした提案を憲法審査会や各党に対して行う所存です。