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議会発言数最下位の議員がトップ当選の不思議


統一地方選挙の後半が終了しました。
最近では珍しくなくなりましたが、今回の選挙でも「議員定数削減」「議員報酬削減」といった公約(看板?)を掲げる候補者が多く見かけられました。

今回、奈良県生駒市議会議員選挙でトップ当選した候補者も、「議員が身を切る改革」をアピールしていました。
この候補者は前々回の選挙では落選。それが前回の選挙では「みんなの党」から立候補し獲得票数2位で当選。そして今回は中央の党の変遷に伴って「維新の党」からの出馬となり、とうとうトップ当選を果たしました。

今回2期目の切符を手にしたこの議員は、第1期目となったこの4年間、どういう活動をしてきたのでしょうか。
議員活動の大きな目安となる、議会での発言数に注目してみます。
実はこの議員の発言数は24議員中、下から2番目です。一番少ないのは補欠選で当選し1年だけ活動した議員で、この議員の発言数を4年に換算すればこのトップ当選議員を追い抜きます。つまりこの4年の議会での発言数が実質的に一番少ないのがこの「トップ当選議員」ということになります。一番発言の多い議員の100分の1強という、非常に「無口」な議員なのです。
もちろん、単に議会での発言数が多いだけではちゃんとした議員活動をしてきたとは言えません。しかし、ちゃんとした議員活動をしている議員は必ず発言数が多いのです。自らの政策を実現する方法こそが議会での発言・質問なのですから。

こういう議員に、生駒市民は「トップ当選」という評価を与えました。
これは何をおいても「維新の党」という看板のおかげでしょう。

この議員は選挙公報では「議員が身を切る改革」といい、政務活動費の一部を返還したり増えたボーナス分を返還(法務局へ供託)するなどの「実績」をアピールしており、市民はこれを評価したのかもしれません(なお「身を切る改革」は維新の党が掲げるスローガンです)。しかし、本当にそれでいいのでしょうか。
「この程度」の活動に対して「この程度」の活動費でいい、ということでしょうか。
本来、市民は議員に対して「報酬(及び政務活動費)に見合った活動をしろ」というべきであって、「その程度の活動ならこの程度の報酬で十分だから削減」というのは本末転倒です。もし「その程度の活動」しかしていない議員がいるなら、報酬や政務活動費を削減するのではなく落選させるべきなのです。
この候補者は他にもいくつかの政策を掲げていますが、それが実現できるのは議会で発言・質問をしてこそ。それをしない議員はどうやって有権者に約束した政策を実現するのでしょうか。

こういう議員が、ただ「維新の党」という看板を掲げているだけで下位どころか24人中トップで当選する。
市民はこの議員に何を期待したのでしょう。
そんな候補者をトップ当選させるような市民が、「議員の報酬は高すぎる」「議員は仕事をしない」「誰がなっても同じ」だのという資格はありません。

ミズノ

生駒市会議員選挙結果