9条の会

九条の会、「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会への質問状


本年3月19日、私は、九条の会、「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会の両会に対して、下記の質問状を送付しました。
その質問に対する回答を、ひと月以内に頂戴したい旨、質問状に付記しお願いしましたが、すでに40日が経過した現時点で、回答も、連絡も一切ありません。
両会は、少数の人々の限られた「サークル活動」といったものではなく、日本はもとより世界中の人々に対して「憲法9条」の意義を説いたり語ったりしているのに、このような本質的な問いに答えず、曖昧な姿勢をとることは無責任です。
そう考え、この際、こうした質問状を出していること、そして回答がないことを明らかにすることにしました。ぜひ、みなさんに考えてほしい。特に、両会に加入されている方、両会の活動を支持している方に読んでいただきたい。そして、両会がこの本質的な質問に答えず曖昧な姿勢をとり続けていることに関して、それでいいのか自分の頭で考えてほしい。

こんなことで、安倍晋三政権の「解釈改憲」に対抗できるのでしょうか。来年にも「9条改正の発議」がなされ、その是非を問う国民投票が実施される可能性が高くなっています。そうした状況の中、現行9条擁護派が「自衛戦争を認めるのか否か」を曖昧にして、ただ「条文をまもる」と言っても、国民投票で多数票を獲得できるはずがありません。「条文をまもる」という一点でのつながりは、過去には一定の意味がありましたが、現行憲法下で(条文を改めないまま)戦争可能な法整備を進めている安倍政権に対しては、「条文をまもる」とだけ言い「自衛戦争の可否」について触れない曖昧な姿勢では対抗できません。
この質問状を素直に読んでみてください。きわめて当たり前のことを訊ねています。
…………………………………………………………………………………………………………………….
2015年3月19日(木)

九条の会 殿

昨年8月8日にこれとほぼ同じ内容の「質問状」を送付しましたが、半年以上が過ぎた今もなお回答を頂戴していませんので、あらためて簡易書留にて送付します。
ひと月後の本年4月20日までに回答を頂戴できれば幸いです。何とぞ宜しくお願い申し上げます。

貴会の憲法9条に対する理解、認識について、お訊ねしたいことがあります。
2004年6月10日 の結成時に発表された「九条の会」アピールの中に、下記の一文があります。

[私たちは、平和を求める世界の市民と手をつなぐために、あらためて憲法九条を激動する世界に輝かせたいと考えます。……
日本と世界の平和な未来のために、日本国憲法を守るという一点でをつなぎ、「改憲」のくわだてを阻むため、一人ひとりができる、あらゆる努力を、いますぐ始めることを訴えます。]

憲法9条が世界にも稀な平和憲法であるという理由は、「戦力の不保持」「交戦権の否認」という定めにより、「侵略」はもちろん「自衛」のためであっても戦争をしない、自衛戦争さえ放棄している点にあります。これが9条の最大の特徴であり本質でもあります。
そこでお訊ねしたい。
貴会は、上記アピールの中で9条を「世界に輝かせたい」「日本国憲法を守りたい」と記していますが、その憲法9条を、貴会は、自衛戦争を含むあらゆる戦争を放棄するものとして理解、認識し、これを「輝かせたい」「守りたい」と考えておられるのか、自衛戦争は放棄せず侵略戦争のみ放棄するものと理解、認識して「輝かせたい」「守りたい」と考えておられるのか、どちらでしょうか?
呼びかけ人の一致した見解があるとか、会としての公式見解があるなら、それを示していただきたい。もしそうしたものがないのなら、呼びかけ人の個々の見解を伺いたい。これは些末なことではなく本質的な問題であり、人々に呼びかける側(9条の会)は、それを明らかにする責務があると考えます。

「憲法9条を守りたい」と考えている人の中には、9条を(憲法制定当時の政府見解通り)自衛隊や自衛戦争を認めないものだと認識している人もいれば、自衛隊の存在を認め、自衛戦争を容認するものだと理解している人もいます。9条支持者の中で、こうした異なる解釈が存在しているのは間違いなく、そのことは貴会も認識されているものと拝察します。権力者が勝手な解釈で、条文を残したまま憲法9条を大きく歪めようとしている今、自衛戦争を認めるか認めないかは明確にしないのが「大人の知恵」だなどと言って曖昧にしたままやり過ごすのは、もうやめるべきだと私自身は考えています。
上記の質問について明快な回答をお願いします。
 
◆伊藤真氏の著作『やっぱり九条が戦争を止めていた』※の一節をコピーして同封しました。
私の質問の趣旨を理解する参考にしてください。
※[九条の最大の特徴は、「陸海空その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とする二項です。自衛戦争を含めた一切の戦争を放棄しているからです。戦力を持たないから、たとえ自衛のためであっても戦争は一切できません。また、戦力を持たないから、戦争する権限を国に認めていません。それが二項の定める「戦力の不保持」、「交戦権の否認」という内容であり、九条の本質は、平和三原則の第二、第三を定めたこの二項にあるのです。]『やっぱり九条が戦争を止めていた』(p.35~36)

今井 一
……………………………………………………………………………………………………………………

2015年3月19日(木)

「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会 殿

 貴会の憲法9条に対する理解、認識について、お訊ねしたいことがあります。貴会が、署名を添えて、ノルウェー・ノーベル委員会宛に提出された文書には、こう記されています。

[日本国憲法は前文からはじまり 特に第9条により 徹底した戦争の放棄を定めた国際平和主義の憲法です。特に 第9条は、戦後、日本国が戦争をできないように日本国政府に歯止めをかける大切な働きをしています。そして、この日本国憲法第9条の存在は、日本のみならず、世界平和実現の希望です。しかし、今、この日本国憲法が改憲の危機にさらされています。
世界各国に平和憲法を広めるために、どうか、この尊い平和主義の日本国憲法、特に第9条、を今まで保持している日本国民にノーベル平和賞を授与してください。]

憲法9条が世界において稀な平和憲法であるという理由は、「戦力の不保持」「交戦権の否認」という定めにより、「侵略」はもちろん「自衛」のためであっても戦争をしない、自衛戦争さえ放棄している点にあります。これが9条の最大の特徴であり本質でもあります。
貴会は、ノルウェー・ノーベル委員会宛に提出した文書の中で、9条を「徹底した戦争の放棄を定めた国際平和主義の憲法」と記し「この尊い平和主義の日本国憲法、特に第9条、を今まで保持している日本国民にノーベル平和賞を授与してください」と結んでいます。

そこで、お訊ねしたい。その「徹底した戦争放棄」というのは、自衛戦争を含むあらゆる戦争を放棄するものとして理解、認識し、これを「保持している日本国民にノーベル平和賞を授与してください」と求めておられるのか、自衛戦争は放棄せず侵略戦争のみ放棄するものと理解、認識して、同じく授与を求めておられるのか、どちらでしょうか?
共同代表の一致した見解があるとか、会としての公式見解があるなら、それを示していただきたい。もしそうしたものがないのなら、共同代表者の個々の見解を伺いたい。
これは些末なことではなく本質的な問題であり、人々に署名を呼びかけ、ノーベル委員会に平和賞の授与を求める側は、それを明らかにする責務があると考えます。

上記の質問について明快な回答をお願いします。
多忙な中、恐れ入りますが、ひと月後の本年4月20日までに回答を頂戴できれば幸いです。
何とぞ宜しくお願い申し上げます。
                                  
◆伊藤真氏の著作『やっぱり九条が戦争を止めていた』※の一節をコピーして同封しました。
私の質問の趣旨を理解する参考にしてください。
※[九条の最大の特徴は、「陸海空その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とする二項です。自衛戦争を含めた一切の戦争を放棄しているからです。戦力を持たないから、たとえ自衛のためであっても戦争は一切できません。また、戦力を持たないから、戦争する権限を国に認めていません。それが二項の定める「戦力の不保持」、「交戦権の否認」という内容であり、九条の本質は、平和三原則の第二、第三を定めたこの二項にあるのです。]『やっぱり九条が戦争を止めていた』(p.35~36)

今井 一