添付の画像は、5.17住民投票で使われる「投票用紙」と、その賛否の記入例です。そして、この投票用紙には、[大阪市における特別区の設置についての投票]と記してあります。つまり、今回の住民投票で主権者・市民に問われている案件は、3月に大阪府・市両議会で可決・承認された「特別区設置協定書」の中に盛り込まれた「特別区の設置」です。賛否を問われているのは、厳密に言えば[都構想]ではないし、当然ながら維新の党や橋下徹氏の政治姿勢などではありません。
投票まであと1カ月というこの段階で、ほとんどの大阪市民は、自分たちが主権者として住民投票で最終決定する事柄についてほとんど理解していません。大阪市内に住む私には、近隣の人々との会話・交流を通してそれがよくわかります。このままでは、そういった「低い理解」で大阪市の未来を左右する大問題を決する住民投票の投票日を迎えることになるでしょう。
当の大阪市民でさえそうなのだから、他の自治体・地域の人々が、実施される「5.17住民投票」について理解しているはずはなく、ここでは、初歩的なことから解説します。 Continue reading
Category Archives: 住民投票
印刷・配布中止となった「特別区設置協議会だより2015年3月/第4号」
5月に実施される可能性が高い、大阪都構想「特別区の設置」の是非を問う住民投票の前に、案件に対する大阪市民の理解を深めるために発行される予定だった大阪府・大阪市 特別区設置協議会だより[2015年3月/第4号]の印刷・全戸配布が中止となりました。
中止の主たる理由は、賛否の見解・意見について、各党会派が1ページずつ使うと[1:4]となり、それは不公平だから賛否同分量にすべきだという橋下市長の指示です。自民、共産などは、発行寸前での中止決定に当惑すると同時に反発しています。 Continue reading
御案内/「大阪都構想の住民投票」セミナー
(事前の申し込みが必要です⇒ref@clock.ocn.ne.jp ※定員に達しました)
「大阪都構想の住民投票」についてのセミナー開催
日 時:1月20日(火)18時半~21時
会 場:天王寺区民センター(第3会議室)
※地下鉄 四天王寺前夕陽ケ丘駅下車徒歩2分
電話06-6771-9981
※受講料は資料代込み1200円で、定員は20人
主催は[国民投票/住民投票]情報室
大阪市を5特別区に分割するとした「大阪都構想」の協定書(制度案)が、13日、府市法定協議会において、維新+公明党の賛成多数により決定しました。これにより実施されることになる「大阪都構想・住民投票」をどう考え、評価すべきなのか?
[大都市地域における特別区の設置に関する法律]に基づき実施される「大阪都構想・住民投票」」と、これまで当該自治体が個々に条例を制定して実施された400件余の住民投票では手続きや実施ルール(投票権者の条件その他)が異なります。
しかしながら、主権者である住民が議員に委ねず、自身の意思で事柄を選択するという本質的なところでは変わりはなく、執行者が案件に関係する情報を出来る限り公開し、賛否両派の意見をわかりやすく紹介することが肝要です。 Continue reading
「大阪都構想の住民投票」についてのセミナー開催
このことをめぐって、反橋下の人々の意見・論調は「全否定」が目立ちますが、私たちは、住民投票という制度を活用すること自体は決して悪くはないと考えています。ただし、批判すべき点がないかと言うとそうではなく、今回の進め方・実施には幾つかの問題点があり、このまま住民投票に突入すると、主権者・市民が深い理解をした上での理性的な一票を投ずることは難しく、感性的、情緒的な悪しき住民投票になってしまう可能性が高いと危惧しています。
そのことを、報道に携わる人をはじめ、多くの〈発信者〉にわかっていただくためのセミナーを下記の通り開催します。 Continue reading
学校でのエアコン設置の是非を問う住民投票、実施へ(所沢市)
所沢市内の小中学校では入間基地の騒音を防ぐためのエアコン設置を進めていましたが、市長が節電を理由に工事を止めました。それで市民が、設置の是非を問う住民投票の実施(住民投票条例の制定)を求める直接請求を行なっていたのですが、昨日(12月18日)、所沢市議会は全会一致で、住民投票条例を制定し、来年2月に実施されることになりました。
全体的には、「間接民主制の破壊」だとか「衆愚に陥る」、「カネの無駄」と言って、直接請求による住民投票の実施を拒む東京都や大阪市など、馬鹿な議会がまだ蔓延っている状況ですが、所々でこういった所沢市のような賢明な判断を下す議会が出てきました。
欧米ではこうした案件・テーマでの住民投票も実施されていますが、日本では初めて。これまで日本で実施された410件余の住民投票(条例制定に基づく)の中にはありません。日本の住民投票は、「原発」(96年巻町)「基地」(96年沖縄県、97年名護市)「産廃」(97年御嵩町)で歩み出しました。最初は、いわゆる迷惑施設に対する反対運動のツールとして活用されたわけですが、今回はそういったものではなく、学校でのエアコン設置」という、どこの街にもある普通の課題について住民投票で決めようという動きが起こり、それを議会が承諾したということです。