今回、「住民投票」と呼ばれていますが、実際にはイギリスを構成する4つの「国」のうちの一つが独立するか否かですから、これは「国民投票」と呼んでもおかしくない案件です。私は91年2月3月にバルト3国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)が個々に実施した「ソ連邦から離脱・独立するか否か」を問う国民投票およびその直後に実施された「ソ連邦を存続させるか否か」を問う国民投票の現場にいました。
ラトヴィア、リトアニアでは、国民投票をやると宣言した途端にソ連の武装グループから襲撃を受け犠牲者が出ましたが、若者たちは怯むことなく、猟銃を手に市役所などに立てこもりました。まさに命懸けの国民投票でした。あのとき示した圧倒的多数の「独立」の意思が黙殺されることなく尊重され、独立国としての今に至っています。
今回のスコットランドの投票はバルトでの国民投票に比べたら実に平和的であり、かつ賛否両派が拮抗する中で、主権者が議論を重ねて選択・決定するという点において、住民投票、国民投票の理想的な形を整えています。普段は18歳以上に認める投票権を16歳まで引き下げ、多くの若者に決定参加の機会を与たうえでスコットランドの未来を決めるというルールもすばらしい。より感動的なのは、若者たちがその意図に応え、賛否両派の訴えに関心を寄せ、学び、話し合っていることです。その事実は、本会メンバーのジャーナリスト・大芝健太郎さんら世界中のジャーナリストが現地から報じるリポートで明らかです。 Continue reading